学童教育事業を拡大

長谷川 祐太
東京大学 薬学部6年 / 連続起業家 
株式会社 Evrika 代表取締役社長 / 
東京大学珠算研究会 創設者

僕自身、興味を持ったことをとことん極めてきたから
子供たちにも「好き」を見つけて深められる場所を提供したい

「好きなことをやっているだけに尽きる」と、シンプルにこれまでの歩みを振り返る長谷川祐太さん。しかしその過程で培った「ユーザーファースト」の姿勢、「自分の富の蓄積だけでは価値を感じれなくなった」という社会意識など、若くして成功を築いた彼だからこそ見える、より大きな世界観がそこにはあった。

ーそろばんは子供のころから?
小学校の3年生の時から始めました。
自分の肌に合うというかすごく面白くて、中学の時に全国大会で7位にもなっています。
ただその後は引退して、しばらくブランクがあったのですが、あらためて大学3年生の頃から取り組むようになりました。

ー大学入学後はどんなことをしてきましたか?
1年生の時は気象部で気象予報士の資格を取得し、2年になってからは放送研究会でCM・動画を作り、テレビ局のバイトなどしていました。
そろばんサークルがあったら入りたかったのですが、あいにく当時はなかったので結構フラフラしていました。
2年後期に薬学部進学が決まって。そしたら同期にそろばん好きのヤツがいて、見事に意気投合。ノリで「東京大学珠算研究会」を立ち上げたんです。ここから、そろばんがライフワークとして定まってきました。

研究会を立ち上げ、自分たちで検定受験に備え問題を解いていた頃、作問に一定のルールがあることを知って。それならエクセルで自動的に問題作成をするプログラムを組めばいいと考え、ソフトを作成しました。
一方でそろばん教室は、決められた問題集を買って授業していることが殆どで、このプログラムにすごく注目が集まったんです。そもそもは自分たちのために作ったんですが、全国のそろばん教室からリクエストが殺到し、製品の商品化と起業に踏み切りました。
2014年の夏に会社を立ち上げ、自動作成プログラムを作り終え、全国規模に珠算塾を展開されている方と共同で認知拡大を進めていきました。
口コミでも有名な先生方と知り合う機会が増えていき、一気に日本全国の珠算塾に導入されていきました。

ーその後はいかがでした?
そろばん教室の先生方は高齢者が殆どなので、購入いただいたソフトに関する問い合わせが殺到しました。みなさんITサービスに疎くて、開始1ヶ月で150件もの取扱いの問い合わせが来たのはさすがに参った(笑)
とはいっても、先生が使えない商品ということになると、裁判訴訟沙汰にもなりかねないし、冷や汗ものでした。
そこで、UXやUIを徹底的に改善し、より使いやすいようにアップデートを続けました。結果的に「ユーザーファースト」の意識を、生身で体感することができました。

ー今はそろばんから教育全体へ拡大されていますね
日本のそろばん教室の7割、そして世界29カ国に広まったことで、割りと早めにマネタイズができました。そこで人生どうしようかと思って、4つくらいビル買ってみたり。
でもそうやって不動産投資などをする中で気付いたのが、自分の資産を増やすだけではつまらないということです。
世の中にとって、より意味のあるお金の使い方をしたいと考えるようになりました。
最初は若年層に投資をしようと考えたんですが、あまり投資したい人間に出会えなかった。
じゃあ自分で人を育てようと、株式会社Evrikaを創業して、「学童保育×習い事」事業を始めました。一箇所で色々なものが体験出来る、「『好き』を見つけて深められる場所」を、作り出したいと考えたんです。
そして、Evrika西日暮里校舎をはじめ、計4校舎体制を構築してきました。

 

ー教育事業に取り組む原点はどこにあるのでしょうか?
実は、親の教育がかなり影響しています。
小学校から基本的にお小遣いが0円。お金が欲しかったら目標を設定して、それを達成したら親はいくら払うべきかっていうのを、論理的に親に説明しなくてはならない制度になってて(笑)
でも僕が「やりたい」と言うと、納得したら何でもやらせてくれる両親だった。中学生で株式投資やFXに手を出した際も、口座を開いてくれたり、株価研究の目的で1年分の日経新聞を取り寄せてくれたり。
おかげで世の中を見る目やお金を稼ぐ力を磨け、高校卒業までには、当分食うに困らないくらいほど貯金がありました(笑)

ー大事にしている価値観は?
「好きなことをやっているだけ」に尽きます。僕は一個のことに興味を持つと、めちゃくちゃ極めるタチなんです。
自動車を見るだけで車種がわかった幼少期に始まり、戦隊モノ、そろばん、競馬、テレ朝の番組、漫画、KinKi Kids、言語(英・仏・伊・西・独・韓)、そして乃木坂46と、その時々で何かにどハマりしてきました。
周りをあまり気にせず、好きなモノにとことん熱中する姿勢はとても大事だと思っているし、自分自身もそうして今があるのだと感じます。
これからは、次の世代のための「好きを見つけて深められる場所」創出に向けて、より一層頑張るつもりです。


長谷川祐太(はせがわゆうた)
1991年、ニューヨーク生まれ。小3で習い始めたそろばんで、中学時代には全国7位の実績を残す。2011年に東京大学理科Ⅱ類に入学。2013年、同級生とともに「東京大学珠算研究会」を設立。そろばんの問題作成におけるアナログ作業に目をつけ翌年8月に株式会社Abacus Creationを創業。従来まで各教室の先生が手書きで作成した問題を自動で作成するソフトの製作・販売を手がけ、世界29カ国へ展開。また「Evrika」などで学童保育事業を展開している。

株式会社Evrika
そろばん事業を手掛ける株式会社Abacus Creationの起業・成功の後、教育事業全体への展開に踏み切り創業。幼児から小学生対象に そろばん、英語、プラグラミング、囲碁、習字、その他多数の習い事事業を引き受け、「好きを見つけて深められる場所」の創出を目指している。Evrika西日暮里校舎をはじめ、計4校舎体制で運営(写真は、日暮里教室でのレッスン風景)

東京大学珠算研究会
2013年に設立されたインカレサークル。部員は大学を問わず約40名。月2回程度、競技大会や検定試験に向けた練習会を開催。世界へそろばんを普及する活動なども行う。初心者大歓迎

文章: 瀬尾真矢  Photo : 鈴木秀康